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NEC未来創造会議

1st Forum INDIVIDUAL
人生100年時代を豊かに生きるキャリア構築

これからの組織に求められる「尊敬」と「信頼」
──コンテキストの共有から共創の可能性は生まれる

コレクティブジーニアスを生み出す組織

松島:
では続けて3つめの問いに移ります。「挑戦・成長する個人を作る環境」を考えるときに、社会が変化しつづけるなかで、現在自分を取り巻く環境・制度をいかに活用・変革していけばよいのか。この問いについては、NECで人事をご担当されながらカルチャー変革本部長も務められている佐藤さんを交えて伺えたらと思っています。佐藤さんはおふたりのお話を伺ってみていかがですか?

佐藤:
わたしは会社のなかで人事の仕事をしているのですが、おふたりの話は社員のあり方とも通じているなと感じました。個の自律はすごく大切なのだけれどそれだけではダメで、ほかのメンバーと関わらなければ大きなことはできませんから。

松島:
佐藤さんは会社のなかの環境を変えていこうとされていると思うのですが、中島さんはSTEAM教育を通じて環境や制度を変えながら新たな機会をつくろうとしているのかなと思います。環境を活用することについてはどうお考えでしょうか。

中島:
コレクティブジーニアスという考え方があって、ピクサーが近い考え方をとっているといわれますが、組織やチームをつくるときにこの概念がすごく面白いなと思っているんです。全体の大きなコンセプトはみんなで磨いていくんだけれど、いろいろな人たちの個性や好き、知恵がいろいろ集まって、ちょっとずつの天才性が大きな集団として何かを生み出すことを可能にする。そのためには、ミューチュアルトラスト/ミューチュアルリスペクト(相互信頼/相互尊敬)もすごく大事だと思っています。

松島:
江村さんは大きな集団を率いてこられましたが、ものづくりからコレクティブジーニアスのようなものに移っていく変化はどのように感じていますか?

江村:
わたしが研究していたころって、ロードマップが定まっていてやるべきことが決まっていたんですよ。しかしいまは新しい価値をつくらなければいけなくて、何をやればいいかわからない。そこで必要になるのがまさにコレクティブジーニアスなのだと思います。そのためにはチームをうまくつくる必要もあるし、プロデューサーのような役割が重要になってくる。

NECシニアエグゼクティブ カルチャー変革本部長 兼 人材組織開発部長 佐藤 千佳

コンテキストが共有できれば協働できる

松島:
決められたものをつくるのではなく答えのないものに取り組んでいく組織って、佐藤さんはどうすれば実現できるとお考えでしょうか。

佐藤:
組織のあり方や上司と部下の関係もすごく変わってきていると感じます。新しい価値を生み出すためには、旧来的な関係性を変えなければいけない。昔は知識や経験が重要だったので上司が部下に指示を出すことが普通でしたが、いまは経験値では教えられないし上司や年上の人が答えをもっているわけではない世界に突入している。だからこそミューチュアルリスペクトをもつことが重要になっています。

松島:
年齢やバックグラウンドに関係なくミューチュアルリスペクトを体現されているのが片野さんだと思うんです。NECが多様な人々の活躍できるステージをつくるのであれば、片野さんのような方もコラボレーションできるチャンスが増えているようにも思います。

片野:
コンテキストが重要ですよね。ぼく自身は生物そのものや生物を認知できることの面白さを共有したいと思っているので、それを達成するためにはいろいろな選択肢がありうる。その目的と企業のもっているコンテキストがマッチするのであれば、誰とでもコラボレーションできると思っています。

松島:
片野さんが仰っているような会社が向いている方向や目指すものと、組織内のキャリアや人事が密接につながってきているようにも思います。佐藤さんは、企業としてのパーパスの発信とそのなかで働く人々のキャリアをどうつなげて考えていけばよいと思われますか?

佐藤:
わたしは航海のようなものだと思っているんです。この船がどこに向かうのかを明確にすると、一緒に乗る人が出てくるし、ある人は途中までなら乗ってくれるかもしれない。あるいは一度下りてまた乗ってくれる人もいるかもしれない。そのなかで多様性を高めていきながら会社として目指す方向に船を動かしていなかければと思っています。そこに個々人が実現したいことが合わさってきたら最高だし、一人ひとりの力が200%、300%と大きくなっていくんじゃないかと。

松島:
そういう意味では、NEC未来創造会議もまさに航海のようなものですよね。江村さんはNEC未来創造会議の航路についてどうお考えですか?

江村:
どこに進むかはまだまだ議論が必要ですが、大企業の役割は将来を見据えて議論することですよね。ベンチャー企業は新しいものをたくさん生み出しつづけるけれど、どうしても短期の取り組みが増えてしまう。長期の活動を続けられるプラットフォームを提供することがわたしたちの役割のひとつでしょう。

大事なのは根本に気づくこと

松島:
片野さんにもキャリアについてお伺いしたいのですが、片野さんは高校を卒業されてMITに進まれています。もちろん人それぞれではありますが、片野さんはご自身の環境を変えていくことについてどう考えているのかなと。

片野:
MITメディアラボでは外国人が高卒で入ってくることってなかなか前例がなかったので受け入れ体制もなくて、制度をハックしたようなところがあって。制度を思ってもみなかった使い方をするのは使う側の自由だと思っていて、自分だったらこの制度をこう使ってみるとか、ハックする視点は重要だなと思っています。あくまでも重要なのは、自分の根本とやっていることがどうつながっているのか考えることなのかなと。

松島:
今日はおふたりから本質や根本という言葉が出てきましたが、そこに気づくための感度が今日一日のテーマだったのかなと思います。いまの片野さんのお話を踏まえると、働くこともこれからはどんどん自分たちが選んでいくようになるのかもしれません。そんな変化のなかでウェルビーイングを実現していくとすると、個人がどんどん自分たちの選択を続けていくなかで企業はどのように価値を提供しあえる関係を築いていけるでしょうか。

佐藤:
最近わたしたちのなかでもよく議論しているんです。以前よりも会社と社員は対等になっているので、会社が整える環境や制度もそれで社員を縛りつけるのではなく余地みたいなものがあって、それをどういうふうに使うかは社員の自由なのかなと思っています。そこから新しいイノベーションが出てくると会社と社員の関係も変わってくるし、社員の方が主体的になっていくんじゃないかなと思っています。

江村:
今日は大変いろいろな話を聞かせていただいて、ぜんぜん第1回が終わっていない気分ですね。今日お集まりいただいた方々とのお話にも十分多様な視点が内包されていましたが、大企業の視点から考えると、実際の企業や社会はもっといろいろな人々が集まって成り立っているので、これからはより多くの視点を取り入れなければいけないなと感じます。それはCOVID-19が提示した問題とも通じている気がしているので、NEC未来創造会議1.1回や1.2回として続けていくような気持ちで、今日の内容については議論しつづけていきたいですね。