サイト内の現在位置

NEC未来創造会議

自分にできることをやっていく“貪欲さ”が未来を変える
「東京女子学園×NEC未来創造会議」座談会

座談会の後半では、東京女子学園の生徒たちに、新型コロナウイルス感染症で感じた変化やこれからの思いを語ってもらいました。

提供元:ログミー株式会社

通学しなくていいメリットと、運動量が激減するデメリット

――世の中ではコロナウイルス感染症の影響がいろいろ出てきていますが、10代の生徒のみなさんは、どんな変化を感じていますか?

YUIさん(以下、YUI):
私は学校がオンライン授業になって、1時間かけて通学しなくていいのはすごくいいなって思ったんです。でも家にいると、ずっと机に向かいっぱなしなんですよ。だから血行も悪いし、運動してないから筋力も体力も落ちるし。ずっと同じ体勢だと集中力も切れてくるし、作業効率も下がるし。ちょっと悪いところが目立ち始めましたね。

オンライン授業が始まって、朝の9時から午後の3時までずっと机の前にいるんですよ。そのあと課題とかテストの用意とか。塾もオンラインなので、また座って勉強するとなると、本当に家の中を数歩しか歩かないくらいの運動量なので。人としてはあんまりよくないなと思います(笑)。

福田浩一氏(以下、福田):
動かないと気分が上がらなかったりしないですか?

YUI:
心は平気です(笑)。

福田:
お若いですね(笑)。

YUI:
自分でもなるべく家の中でも日光の入るような、ちょっと明るいところに行くようにしてます。

今後、あなたは学校でどんな学び方をしたいですか?

立原寿亮氏(以下、立原):
ちょうど今の話に関連する資料があるので、お見せしますね。本校は4月からオンライン授業をやっていまして、生徒にアンケートを取ったんです。

「今後、あなたは学校でどんな学び方をしたいですか?」という質問で、回答は「去年までと同じように登校する」か「オンライン学習を中心として原則登校しない」か「その中間」の3択というかたちですね。

このアンケートでは、ベネッセ教育総合研究所が運営をされている、コロナ禍における「生徒の気づきと学びの最大化」プロジェクトの、全国で指標が出る調査と同じ問いを出していたんですが、回答の割合が決定的に違ったなぁというところなんですね。

「オンライン学習を中心として原則登校しない」の回答が、東京女子は27.81パーセントで、全国平均では9.0パーセント。次の「分散登校」が48.52パーセント、全国平均は31.6パーセント。最後の「去年までと同じように登校する」は、東京女子が21.89パーセント、全国平均は58.5パーセントなので。

もちろん全日制の普通科の学校なので、登校がゼロになることは通常あり得ないですし、当然心身ともに成長することが学校に通っていただく目的ですが、全国的に見てもオンライン学習を希望する割合が高いことは、本校の特徴の1つと言えるかもしれないですね。

――東京女子学園様がICT教育に取り組まれたのはいつ頃からだったんでしょうか?

立原:
iPadを一人1台使うようになって、4年目になります。導入したばかりのときに体育館でOJT研修をしたら、オフィス街ということもあって、港区芝の帯域がキャパオーバーになって通信障害になってしまったんです。今は屋内基地局があるので、学内のどこでもアンテナがバリバリ4本という感じです(笑)。

そんな感じで始めていましたが、Zoomはコロナウイルス感染症自粛があって4月から初めて使ったんですね。でも、生徒のみなさんが本当にZoomはもう慣れっこで(笑)。普通に使ってくれるので、生徒に救われているなと思いますね。生徒たちのリテラシーも高いと思いますよ。

――なるほど、ありがとうございます。

政治への無関心と、オンラインでの心の距離

――ではSAKIさん、コロナウイルス感染症後に変わったと思うことをお願いします。

SAKIさん(以下、SAKI):
コロナウイルス感染症で緊急事態宣言が出て、各々自粛をする状態で、一時期すごく感染者数が減って収束したんじゃないかみたいな流れで、今も学校を再開したり会社への電車通勤を始めたところが多いと思うんですけど。

緊急事態宣言は解除されて、政治家の方たちが段階を決めて自粛を怠らずに、というお話をしていても、世間にあんまりその声は届いていないみたいで。解除ムードに飲まれてしまって強制力のない状態なので、今回のコロナウイルス感染症自粛で、私たちがもっと政治に関心を持ったほうがいいなとすごく思ってます。

――確かに、自分で考えて判断しないといけないことが増えてきていますね。政治について考えている方は、18歳以下でも投票権がほしいですよね。KARENさん、お願いします。

KARENさん(以下、KAREN):
私もYUIさんと一緒で、通学時間がまったくないのはいいんですけど。友達とも画面上で会っているので、やっぱり実際に会うよりさみしいというか、満足感がなくて。外出自粛になってから、心の隙間を埋めようと、けっこうLINEの頻度が増えたりしました。

立原:
今日は登校日なんですけど、やっぱりふだんより登校率が高いんですよね。

福田:
みんなたくさんしゃべるでしょうし、たぶん積極性も上がっていますよね。

立原:
そういうことはあるかもしれないですね。オンラインだからこそ、心と心の距離をどうクリエイトしていくかというのは次のテーマなのかもしれないですね。教育としてはフェーズが上がったような気がします。

個人でできることを、まずは自分からやってみる

――続いてのご質問なんですが、みなさんがいろいろな問題を感じている中で、もっとこうしたら世の中が良くなると思うことはありますか?

MAYUさん(以下、MAYU):
これは私自身にも言えることなんですけど。例えばコロナウイルス感染症のときも少し政府の行動が遅いと言われていたりして、日本は政治に興味のない人が多いのかなと思うので、私たち若い世代がもっと政治などに興味を持っていったほうがいいのかなと思います。

福田:
そのとおりですね。

MAKOさん(以下、MAKO):
今はソーシャルディスタンスを取らなきゃいけないじゃないですか。それで、4月からオンライン授業をしてきて、私たち自身も遠距離でもできることがあるってわかって。

ただ、その分コミュニケーションが取りにくかったり、話し合いのときに個人の考えや意見に囚われすぎて話し合いがうまく進まなかったりもすると思うんですけど。

適切な距離を取りながらでもできることがあると証明されたので、個人でできることをどんどん自分からやっていくっていう。自分もなんですけど、私たちは今、そういう気持ちが欠けていると思うんですよ。なので「自分から」って貪欲になっていくべきかなと思いました。

福田:
本当にそのとおりですね。別に大それたことじゃなくてもいいから、自分から何かをしていくことがすごく大事かなと思っています。

「自分から」ということで言うと、僕ももともと会社の中で、みなさんに情報を提供するマーケットインテリジェンスという部隊にいたんです。例えば、「UberEats」のようなビジネス形態が来るぞというのは何年か前からわかっていたので、レポートを書いたり社内に勉強会を作ったりしていたら、最終的に100人以上の方が会に入ってくれて。

勉強会を開催したら何十人と来てくれるので満席になって、参加者の1人が「そのビジネスは来そうだから一緒に作ろうよ」と言ってくれて、ビジネスを作る部門の人たちが事業を立ち上げてくれたのですね。僕が「こういうふうに作ればよい」と言って、彼らがそれを参考に実行してくれたという感じで立ち上げて。

僕ができることはレポートを書くだけだったんですけれども、少しでも自分にできることをやってみるとなにかしら動くなと思っています。

大人が追いつけない、高校生の間の流行

――本当にそうですね。今は発信するための方法もいろいろありますし。みなさんはどんなSNSを使っていますか? Twitterをやっている人は?

(4人挙手)

――インスタは?

(全員挙手)

――インスタはやっぱり多いですね。TikTokは?

(1人挙手)

――他にみなさんの間で流行っているSNSツールはあります?

MAKO:
自分で投稿したりはしないんですけど、TikTokとか見てるとすごくおもしろいですし、流行ってることとかもわかるのでよく見てます。

福田:
なるほどね。

SAKI:
時間的によく使うのはやっぱりYouTubeとか。

福田:
そこに何かを上げるとなると、やっぱり1つハードルが高いんですよね。

KAREN:
ちょっと前に韓国ブームってあったじゃないですか。今は中国のチャイボーグが流行ってて。私は最近、Weiboっていうアプリを見てます。

立原:
僕ももうぜんぜん追いつかないです。オンライン授業冒頭のアイドリングトークの際に出欠確認と兼ねて、生徒に「最近流行ってるものを名前の後ろに打って」と言うと、3分の2はわからないですね(笑)。いろいろ教えてくれます。

(一同笑)

立原:
こういう10代の感性を信じたいですよね。

福田:
そうですね。

有識者の言葉をヒントに想像を広げる授業

――ありがとうございます。9月からのNECさんの授業も、まさに生徒のみなさんが感じていることやアイデアを一緒に考えて膨らます場だと思います。学校側が授業に期待されること、みなさんが楽しみにしていることがあれば、教えていただけますか?

福田:
もう一度画面を映しますね。これが授業で使うカードなんですが、表面が青色で裏面が白色になっています。

3年間いろいろな有識者の方のお話を聞いてきて、その発言の中から、カードの表面には、「誰もが複数の人生を生きる時代」とか。「人間の五体の制約がなくなる」とか。そうしたヒントをキャッチコピー的につけて、こういう時代が来るよねというカードを作らせてもらいました。

みなさんにカードを読んでもらいながら、「これは賛同するよね」「これを使ったら、私だったらもっとこんないいことできるよね」ということを授業の中で考えていければなと思います。

何もないところから想像することはできないと思うので、こういったものをお手本に考えていければなと思っています。

教科書に載っていないことを学び、自分で発信していく機会

立原:
このカードを作るときに、私は「自分の将来」と「社会や世界・まちの未来」という言葉が刺さったように思っていて。中高生の時代って本当に多感な時期なので、こういうリアルタイムのテクノロジーなどは、やっぱり教科書にはなかなか載っていないわけですね。

教員側としてこの授業に期待しているのは、こういう授業やカードを通して、もっと先の未来というか、例えば街をどう創っていくかとか。本校ではDSDA(データ、サイエンス、デザイン、アーツ)に力を入れていて、何かを作るというデザインだけじゃなくて、自分のキャリアや人生、街をデザインするとか、政策を提言することもデザインなんですよね。

実はそういうことが隠れたテーマではあるんです。その時間を共有できること自体が本当にすばらしいことだと思って、そういう意味で期待しております。

全部で6回の授業を2タームで考えていまして、高校1年生の9月以降に6週間。前半はイマジネーションをテーマにして、高校2年生にクリエーションをテーマにした後半の授業をしていく予定です。

自分の意見を持って発信することが最後のテーマだと思っているので、できれば外に出て、最終的には発表などができたらなぁと。先ほどの体験と経験じゃないですけど、自分の言葉にすることが、最終的には大きいテーマなのかなと思っています。

今は教員も生徒も一緒に意見を交換しようというかたちで、Zoomでも全員フラットに一緒に話せるのがいいなと思います。

福田:そういった意味で言うと、僕たちも教えるという考えはおこがましいかなと思っていて。逆に学ぶことが多いかなと思っています。生徒さんも手を挙げてくださいましたね。

機械任せの便利な生活によって、失われるかもしれないもの

MAKO:
私も中学生のころからSDGsの授業を受けていて。中学校に入るまで、座って勉強することだけが社会の役に立つとずっと思ってたんですよ。でも、だんだん学年が進むにつれて、DSDAの授業が始まったりして。

今の時代は座学ももちろん必要だと思うんですけど、実践能力だったり関わりを持つことだったり、自分の意見を前に出すことがすごく必要なんだなと思って。それを今学校内でもやっているんですけど、実際に社会に出て働いているNECの方々と一緒に授業ができることがすごく楽しみだなって思っています。

SAKI:
私も学校でSDGsの授業を受けていて、去年は「AIと共存するためにどうしたらいいか」ということをテーマにして探究活動をしていたんですけど。私が考えたのは、科学技術が発展していく中で、もちろん環境問題も大切だなと思うんですけど、今みたいに人と直接会えないようなときに、Zoomや料理の手間を省ける道具や、掃除をやってくれる道具があって。

そういう日々の生活の中での家事や仕事を機械に任せてしまうと、人間の本質的なものが失われてしまうんじゃないかと考えていて。NECさんみたいにAIやテクノロジーに詳しい方のお話を聞いて、どうしたら私たちの生活と便利さがちょうどいいバランスで共存していけるのかというお話をすごく聞きたいですね。

福田:
ありがとうございます。この答えはたぶん誰も出せてない領域ですね。立原先生の教え方がうまいのかな。すごく本質的な質問が来ましたね。本当にそのとおりで、人々がふだんやっていたことがなくなるのは便利ではあるんですけど、それだけでいいのか。

先ほどインターネットの世界から体験社会へという話もあったんですけど、私たちは、インターネットが目の前の利便性を追求しすぎたために、実はいろんな負の側面を生んでしまったという課題があると考えているんですね。

そういった意味では、体験社会ではただ便利になるだけじゃなくて、人のぬくもりなどを失わずに済む世の中を創れないかと考えているところで。まさに今言っていた両立ですよね。そのやり方をどうするかということは、NECの中でも1つ課題かなと思っています。

AIを使いこなし、共存していく方法を探していきたい

――では最後に、みなさんの感想を聞かせていただけますか。

MAYU:
今日は本当にありがとうございました。DSDAの授業のことを聞いて、今からもうすでに楽しくなりましたし。最初にMAKOさんも言っていたんですけど、私は正直AIに仕事が取られるんじゃないかという恐怖があって。でも、AIと共存していく方法もあるんだということも知れてよかったなと思います。

KAREN:
もし東京女子学園に入学してなかったら絶対にできない授業だと思うので、今回この授業を通して、自分の経験や財産にしていきたいなって思いました。

SAKI:
先ほどと少し被ってしまうんですけど。私はもともとAIとの共存に興味があって、それに詳しい方からお話をいただけるので、すごく楽しみにしています。ありがとうございました。

MAKO:
今回のお話はすごく難しくて(笑)。頭の中で情報がごちゃごちゃになりそうだったんですけど、お話を聞いて、やっぱりAIと共存していかなきゃいけないなとすごく思いましたし。あと、AIに負けない技術を身につけることが大事だなという思いが生まれてきて、改めて9月から授業をしていただけるということですごく楽しみにしています。今日は本当にありがとうございました。

YUI:
動物は笑わないと言われているけれど、私たちは笑ってコミュニケーションを取って同じ情報を共有できるからこそ、AIに仕事を取られるんじゃなくて、AIを使いこなすことが必要だなと思いました。

それをするためには、まず私たちがAIや技術について学んだり知ろうという意欲を持たなきゃいけないし。意欲を持つ前段階として、私たちはふだんからiPadなどを普通に使っているけど、「なんでこれができたんだろう」という原点から考えなきゃいけないなとも思いました。

インターネットなどは、やっぱり便利だけど悪いところもあって。情報を得るだけじゃなくて、自分で考えて、もっとよく発信もしていかなきゃいけないなと思いました。今日はありがとうございました。

福田:
すばらしい! ありがとうございます。

——みなさんが少し難しい話にもちゃんとついてきてくれて、一人ひとりがしっかりと考えてくれているので、本当に頼もしいと感じました。本日は本当にありがとうございました。

< 前ページ:「情報社会」の次に来るのは「体験社会」 NEC未来創造会議が描く、人が豊かに生きるための未来予想図