Forum Report

第二部 パネルディスカッション③
「テクノロジーの進化と向き合う人間はどうあるべきか?」

11月9日に行われた「NEC未来創造会議」のパネルディスカッションの後編をレポートします。6名のメンバーによるディスカッションでは、遠くない未来における人と技術の在り様と、それに伴う懸念や期待など活発な発言が交わされました。最後に、これまでのNEC未来創造会議を通して、NEC CTOの江村克己からの宣言で締めくくります。

NEC未来創造会議メンバーの写真

第3回有識者会議参加メンバー

ソフィアバンク代表

藤沢 久美 氏

ファシリテーター

WIRED誌 創刊編集長

ケヴィン・ケリー 氏

EDGEof 共同創業者

ダニエル・
ゴールドマン 氏

慈眼寺住職 大阿闍梨

塩沼 亮潤 氏

将棋棋士

羽生 善治 氏

ロフトワーク 代表取締役

林 千晶 氏

NEC CTO

江村 克己

テクノロジーが進化した未来は
本当に平和なのか

藤沢:
NECが提示した4つの視点は、実は私たち人間の視野をもっと深くしましょう、もっと広くしましょう、もっと長くしましょうということを別の角度で伝えているように思います。そういったことをAIなどの技術を駆使して実現できるかもしれない、ということですね。ケリーさんは、まさに次々に起こる技術の新しい変化をご覧になってきており、予測や洞察をされているわけですが、技術はどういった方向に向かっていくのか、その中でNECはどういう役割を担ったら良いのか、どのようにお考えですか?

ケリー:
世の中には、いろいろな考え方のAIがあります。例えば、スマートフォンにもある種のAIが搭載されています。でもそれは、もはや我々にとって興味を引くものではありません。より高度なAIが登場し、AIが複雑になるに従って、どんどん人格を持つようになるでしょう。将来は、いろいろな種類の知、インテリジェンスを作って、それぞれをプログラミングし、人間が自分以外の観点でものごとを見る助けになるのではないでしょうか。
それによって共感の輪が広がります。これは、非常にパワフルなことです。例えば、ずっと遠い国に住む人の視点で世界を見るとか、あるいは貧困になったらどうなるか、あるいは障がいがあるとどうなるのかなど、自分とは異なる他者に共感できるようになる。テクノロジーを使って、人間の輪、動物、あるいは生命の輪を広げることもできると思うんです。自分たちと共感できる生命体の輪を広げること。NECがそうした取り組みをされたら、うれしいですね。

藤沢:
ここまでのお話を伺っていると、AIというのは、人間の視野を非常に大きくしてくれると同時に、すごく平和な世界を作ってくれるように聞こえてきますが、本当に平和な世界になるのでしょうか。これまでにも、分断が広がるのではないか、より孤立する人が増えるのではないか、新しいコミュニティができていくのではないかなど、さまざまな議論がありましたが、この部分はどうでしょう?

江村:
AIはどちらかというと透明な存在で、そこに何を読み込ませるかがとても重要だと思っています。以前にも議論しましたが、ある人たちにとって住みやすい社会が、それ以外の人たちにとっては非常に住みづらくなるといったことが起こる場合に、住みやすい人たちのデータだけを拾ってAIに読み込ませると、その部分だけがどんどん強調される構造になりますよね。それから前半で林さんが、人間に主体を置きすぎていいのかとおっしゃいましたが、自然界のほかの生物のデータを私たちが取り込んでいかない限り、それらはバーチャルな世界には入ってきません。その意味で、これからは、どういうデータを見ていかなければならないのかというところに、重要なポイントが移ってくるように感じます。その選択がうまくいくと、AIは、より良い世界を作っていく方に使われるのではないかと思います。「じゃあ、NECはどうするのか?」と考えたときに、あまりパッシブになってはいけないですよね。単に「もらったデータを解析します」というスタンスでは、そこにはなかなか入っていけません。その辺りが、ある意味でチャレンジではないかと思います。

藤沢:
データのセレクトの仕方、どのデータを取り入れるのかがポイントというお話がありました。ケリーさんにもう一度伺いたいのですが、先ほどのケリーさんのプレゼンテーションの中で、「エンタープライズ・ファースト」というお話がありました。今、江村さんの話にあったような、どのデータをセンシングして取り込んでいくのかということを、いきなり地球規模で始めるのはなかなか難しいですよね。NECがAIの開発をしながら、NECという会社を変えていくとすれば、どういうデータをどんなふうに取っていくことから始めたら良いか、ご提案があれば聞かせてください。

ケリー:
これは非常に難しい議論だと思います。私たち人間、その友人、そして我々の生活に関するデータは、あらゆるところで収集されています。例えば、トラッカーやフィットネスバンドを身に付けていたり、あるいは体重計に乗ったり、走行距離を計測したり、また店舗でチェックインするアプリケーションを使っていたりすれば、それらのデータは自動的に収集されます。また、各SNSの企業も我々の行動をトラッキングしています。それ以外にも自治体や都市、あるいは政府などもやはり、無数に設置された監視カメラによって、例えば車を運転していれば追尾されます。私たちは常にトラッキングされていますが、それについて我々がどう感じているのかについては、まだ結論がありません。ただ、そういったデータがどう使われるかについて不安に思っていることは確かです。それでもデータが増えれば増えるほどメリットも多いので、データを提供しているというのが現状ではないでしょうか。
なぜこれを不安に感じるかというと、一方通行のように見えるからです。つまり、彼らは私についてたくさんのことを知っている。でも私は彼らが誰かもわからないし、彼らがデータを使って何をやっているかもわからない。そして、誰にそのデータを提供しているのかもわからない。私に対して説明責任がない。そこにそれほどメリットがない、といった具合に一方向な印象を受けるわけです。
では、よりシンメトリカル(双方向)な形で情報の流れを作るシステムがあれば、どうでしょうか? 私に関する情報について、例えば、誰かそれを持っている人が私に対して説明責任を持つことは、私にとってもメリットだし、私の情報を私自身でコントロールできれば、それもまたメリットです。そういったシステムを発明してほしいのです。我々がデータを管理でき、相互に対称的なデータを持つことができるようなシステムは、NECが素晴らしい人材を集めて工夫し、技術的なソリューションとして発明できるはずです。快適で洗練された形でデータを集める方法は、暗号化やブロックチェーンなど、いくらでもあると思います。そしてシェアする情報と、シェアしない情報を分ける、そこに大きなチャンスがあるでしょう。我々だって共有もしたい。でもプライバシーも欲しい。これらを両立することはできるはずです。ただ、やり方を考えてもらわなければなりません。

藤沢:
江村さんは「なるほど」と、すごく頷いて聞いていらっしゃいました。では羽生さんに伺います。ケリーさんがご提案されたようなデータシェアのあり方に対して、どんな印象を持たれましたか?

羽生:
やはり技術を進めていく上で、データを収集してそれを活用していくというのは必要不可欠なことだと思うんです。でも一方で、これだけ世界中にさまざまなデータ取得のテクノロジーが出てくると、やっぱり個々のプライバシーなり、守るための仕組みも作らなくてはならない。そこは暗号化するなど、テクノロジーで解決できるのかもしれないですが、その辺りも同時に進めていくということは大事だと思います。もうひとつ言うと、ひとつひとつのテーマでビジネスを進めていこうとすれば、それがどうしても全体から見れば局所解、部分的な解になってしまうのは、仕方がないことだと思います。そこで、先ほどお話があった「じゃあ地球の視点から見てどうなのか」とか「社会の視点から見て、それはどういう影響を及ぼすのか」ということも併せて考慮し、進めていくのが健全なのではないかと思っています。

藤沢:
「さすが羽生さん」という感じの、局所を見ながら全体像を見るというお話ですね。では、林さん、こういったデータがこれからすごく大事になっていく中で、やっぱり私たちひとりひとりの人間のデータを提供するのか? またそのためには、双方向でもいいんですが、心理的アクセプタンス─受容力のようなものが求められてくると思うんですけれど、そういうものは今後、AIなどの進化によって人々の間に育まれていくものだと思われますか?

林:
難しいですね。藤沢さんがおっしゃった、「人工知能は、明るい未来しか作らないんですか?」ということにもつながると思うんですが、実際はそんなことはないですよね。私たちは、それをインターネットでも経験しています。インターネットが世に出てきたときに、「世界中の知恵がつながり、国境を越えて、仲間と出会う」という、今AIに対して議論していることと同じ議論がされました。もちろんそういう形で進化しているところもあり、可能性は広がって、学び方なども変わってきた部分もあるんですが、やっぱりずるいことをしたり、インチキをしたりするのも、また人間です。その両方が起こるのはどのテクノロジーでも同じで、AIにしても、もうすでに「AIナントカ」というものがいっぱいあって、「本当にAIなの?」「何のデータに基づいているの?」というようなものも出てきている。その辺りのリテラシーは、私たちも学びながら向上させていくしかないですね。

より良い世界のために
NECとしてできること

林:
「安くてインチキで偏っていたって、人気が出れば良いじゃん、ビジネスになれば良いじゃん」という考えに対して、江村さんに聞いてみたいのですが、「企業として利益最優先を止められますか?」ということです。もちろん企業として生き残っていくことが前提ですが、NECのような大企業が担う責任として、面倒ですぐにお金にならないところのデータを取るといったことも誰かがやってくれないと、AI不信も起こるし、企業と人間の間にも不信感が起こる、といったストーリーが出てきてしまう。AIがもともとバラ色なのではなくて、バラ色にしていく意思をそれぞれが持つことが重要なのかなと思いました。

江村:
NECは2013年に、社会価値創造型の企業になるという方向感を示しました。どういう意味かというと、経済価値を単体で議論するのではなく、自分たちが提供する社会価値を通じてa brighter worldを実現し、同時に経済価値というリターンも得るという発想で、「NECは変わります」という宣言をしました。その後に、SDGsやESG投資といったものが出てきていて、多くの人たちが、やはり地球のサスティナビリティなどを気にし始めています。先ほどから議論になっていることは、やはり「我々が提供する価値は何なのですか?」という問いかけだと思うんですよね。だから、NECはすでにそちら側の方向に意識を振ることができているという答えを堂々と出してみようと思います。

林:
アメリカではすでにベネフィット・コーポレーションがありますよね。利益最大化を目的とするのが一般的なコーポレーションであるのに対して、提示した価値にコミットするベネフィット・コーポレーション。目的のためには、ときに利益を下げても投資しますということが、アメリカでは実現できている。そういった視点でアメリカでは、どういう議論がされているのか、「利益最大化をどんどん進めていこう」なのか、「もっと地球のためになることを考えよう」という議論が進んでいるのか、その辺りはどうなっているのでしょうか?

ゴールドマン:
確かに、特に私が住んでいるサンフランシスコのベイエリアでは、どうやったら世界をより良くできるかという協議がされています。社会起業家(Social entrepreneurship)という取り組みがあって、事業、企業のメカニズムを使って、社会的、人間的な目標をどう達成しようかということで、実際、世界の役に立たないビジネスはやりたくないと考える若い人たちが増えているようです。
今や世界は本当につながっています。以前のようにズルをすることは許されない。例えば、コミュニティを所有するような企業などでは、リターンを高め、コラボレーションも高め、そして景気が悪いときでも利益を上げることができるようになってきている。今後の世界は、やはりビッグデータを持っている人が成功すると思いますが、情報を共有したい人々のことを考えるような人たちが成功して、ズルをした人たちは最終的には負けるでしょうね。

藤沢:
アメリカでもそういうトレンドができているというお話ですが、塩沼さんに伺いたいんですけれども、まさに大企業としての役割について。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という言葉がありますが、どうしてもそういうことが繰り返しされている中で、この時代、大企業のNECとしてやるべきことをどんなふうにご覧になりますか?

塩沼:
あくまでも理想論なのかもしれませんけれど、NECの遠藤会長がおっしゃっている「宇宙には国境がないよね」というお話、そして「サイバースペースにも国境がないよね」というお話をお伺いして、非常に興味を持ったことがあります。じゃあ実際にこれを技術開発の観点から見ると、富士山という山があって、この山に対してNECはAというルートから、ある目的に向かってアプローチするわけですね。しかし、Bというルートから登る他社もある。いろいろなアプローチの仕方があると思います。けれども、この頂上にあるのはみんな仲良くしようねという、単純なアイデアなのではなかろうかなと思うんです。ですから、お互いの利益などもあると思いますが、もっと我々人類が意識を高く持てば、実はお互いの心と心の間には国境がないわけですよね。そういう広い観点から、いろいろなものが進んでいくと、理想的な社会ができるのではないかと、今お話をお聞きして感じました。

藤沢:
そのためにNECにご提案できることはありますか? こういうような役割を担われたらどうでしょうか、といった。

塩沼:
ケヴィンさんがおっしゃっていた、他者の観点からものごとを見るというお話。それは突き詰めていくと、人の痛みがわかるようになるということだと思うんです。この、相手の痛みをわかる、そして共感できるようになるという、そういう技術を開発していただけたら、その分野で世界のトップを取っていただきたいなと思います。

藤沢:
残りの時間が少なくなくなってまいりました。いろいろな意見を頂戴してきましたが、もっとこういうことが言いたかったということもあると思います。あらためてNECに期待すること、また、NECにはこんなに素晴らしいところがある、ここは絶対に変えていったほうが良いということでも結構です。ゴールドマンさんからお願いします。

ゴールドマン:
私自身の世界に対するビジョン、それからここで聞いたいろいろな議論から考えると、やはりNECができることというのは、世界をより良く理解できるようなAIやセンサーなどを使って、人々がより良く世界を理解できるようにすることだと思います。それによって、平和、それから世界の情勢、そしてデータの対称性を理解するための技術を開発することにつながると思うんです。世界で何が起こっているか、そして自分たちの行動がもたらすインパクトをより良く理解できるような技術を、ぜひ開発していただきたいと思います。

林:
私は、FabCafeというモノづくりカフェをやっているんですけれど、5年前にオープンしたときに記者の人から「設置してある3Dプリンターで誰かが銃を作ったらどうするんですか?」と何度か聞かれました。結局、誰も作っていないですよね(笑)。それと同じように、今AIに対して心配していることも、実は「何であんなことを長々と議論していたんだろうね」となるかもしれない。重要なのは、この状態に持っていくというゴールを決めるのではなくて、常に議論し、実行することだと思います。NECさんにはぜひ、ここを起点として、みんながそういう実験をやってみたいと思うようなポジティブなストーリーを、実践を通じて作っていただけたらと思います。

ダニエル・ゴールドマン氏の写真

「期待するのは、世界で何が起こっているか、そして自分たちの行動がもたらすインパクトをより良く理解できるような技術。NECには、人々がより良く世界を理解できる技術を開発してほしい。」

ダニエル・ゴールドマン氏

林 千晶氏の写真

「重要なのは、常に議論し、実行すること。NECが起点になって、みんながそういう実験をやってみたいと思うようなポジティブなストーリーを、実践を通じて作ってもらいたい。」

林 千晶氏

ケリー:
今日提示された4つの項目に関して、長期志向という点があまり議論されなかったように思います。NECは非常に長寿の企業です。近年、いわゆるスタートアップのような企業も世界最大の企業となる例が増えてはいますが、彼らは非常に若く、まだよちよち歩きです。NECが世界にもたらせる、あるいは将来に対して提供できるもの。それは歴史観、それからどうやってこれだけ長い間事業継続できたかということ、さらには長期志向、あるいは長期的な視点を持つことの価値を知っている点だと思います。そういった長期志向的な考え方を一般に公開し、そのためのプロセスを明確にしてほかの企業にも提供できたら、すごくパワフルな存在になると思います。
一番重要なのは、林さんがおっしゃったとおり、動詞であることです。名詞ではなく動詞。NECがこのプロセスを作ることで、そういった長期的な視野を日々のプロセスの中に作り込み、それをすべての人に提供できれば素晴らしい発明になると思います。

羽生:
これから先の未来を担う若い世代の人たちが、例えば、社会起業家のような形になるとき、NPOやNGOを作って、クラウドファンディングで始めよう、となるのが一般的です。もちろんそれはそれで構わないんですけれど、それ以外の選択肢のひとつとして、じゃあやっぱりNECに入って様々な経験をして、自分の実現したいこと、社会に貢献していきたいというようなことを実現する。そんな組織の候補としてNECが存在することが、未来につながっていくのではないかと期待しています。

塩沼:
訪れる未来と仲間と挑戦。挑戦という言葉は非常に大事だと思います。私はこの日本という国に生まれて、日本の歴史と宗教観の中で、自己を磨いてきたわけなんですけれど、今個人的にニューヨークに行って、ニューヨークで世界中の宗教がみんな仲良くなるにはどうしたら良いのかということを発信するために、挑戦しているんですね。ただ、地域ごとにいろいろなアイデアや文化がありますので、情報収集しながら、日本と照らし合わせながらやっています。「私が本当に言いたいことはこれだよね」と日本で思っていても、ほかの国に行ったならば、突拍子もないこともやっているかもしれない。その可能性もあると思うんです。ですから、このNEC未来創造会議をロサンゼルスに持って行くとか、シリコンバレーやニューヨークに持って行って、現地の人たちに、ボッコボコにされてですね、どんどんと擦り傷、切り傷、いろいろな傷を付けながら、成長していけば良いのではないかなと思います。

ケヴィン・ケリー氏の写真

「NECは非常に長寿の企業。どうやってこれだけ長い間継続できたのか、長期志向的な考え方を一般に公開し、そのためのプロセスを明確にしてほかの企業にも提供できたら、すごくパワフルな存在になる。」

ケヴィン・ケリー氏

羽生 善治氏の写真

「若い世代の人たちが、自分の実現したいこと、社会に貢献していきたいというようなことを考えたとき、そんなことを実現できる組織の候補としてNECが存在していてほしい。」

羽生 善治氏

塩沼 亮潤氏の写真

「NEC未来創造会議をシリコンバレーやニューヨークに持って行って、現地の人たちにボッコボコにされて、どんどんと擦り傷、切り傷、いろいろな傷を付けながら、成長していけば良いのではないか。」

塩沼 亮潤氏

議論を続けること
NEC未来創造プロジェクトの継続を宣言

藤沢:
ありがとうございます。長期視点、そのプロセスをNECさんが動詞で行う、その場は日本だけではない、といったお話を最後に皆さんからいただきました。ここまでのすべてのお話を受けて、江村さん、どこまでやるのかという、総括をいただければと思います。

江村:
たくさんのサジェスチョンをいただいて、まずやらなければならないことは、議論をし続けること。動詞であることですよね。このプロジェクトをやり続けるということが、一番のベースにあると思いました。そんな中で、私自身は去年と今年でも随分変化があった気がします。でもまだまだ足りていないので、これを続けながら少しずつ良くしていくということをやらなければならないと思うんです。感想になりますが、やっぱりダイバーシティはすごく大事で、今日はご都合で来られなかった文化人類学者の松村先生の「人だけじゃないよね」という言葉が、今年の中では私にとって大きな視点になりました。そういう意味でも、いろいろな人の意見をこの中に入れてくというやり方を考えていく必要があると思います。
塩沼さんがおっしゃったように、もっと海外に行って議論を深めるというのもひとつだと思います。

江村 克己の写真

「たくさんのサジェスチョンをいただいて、まずやらなければならないと思ったのは、議論をし続けること。このプロジェクトをやり続けるということが、一番のベースにある。」

江村 克己

それから技術開発については、今日いただいた話やケヴィン・ケリーさんの話を伺っていると、中にはNECとして今やっていないこともありました。それらについては、もう一回見直す。本当のチャレンジは、それをやりながらプロセスをきちんと作るということで、それはやはり、実際のインプリメンテーションをしながら感じることがあって、そこにプロセスが入ってくるからです。理想的だと思っていても、実際にはうまくいかないということが、リアルに出てくると思います。この活動を継続するというのが、ひとつの宣言で、具体的なものに落としてそれをリアルにしていくというのが、次のステップではないかと考えています。たぶん「世の中は、いっぺんに解くことはできない」というのが、今日皆さんのお話を伺いながら、ずっと感じていたことです。
それともうひとつ。最後におっしゃっていただいたことで、今はどうしてもベンチャーなどが注目されやすいのですが、NECだからできることも、やはりあります。無駄に大きくないところや、歴史を持っているところなど、そういったことをもう一度社内でも議論します。

私の宣言として「このNEC未来創造会議を拡大してやります」ということで、ぜひ多くの人に入っていただきたいし、若い人にも入っていただきたい。NECの若い社員が元気に参加できるような形でやっていきます。

メンバーの皆さんから、それぞれに未来の展望やNECへの期待、提案が出された今回の会議。今年の総括ということでCTOの江村から、「この議論を続けていく」と、本プロジェクトの継続が宣言されました。
3回にわたって開催された有識者会議を軸に展開した「NEC未来創造会議 2018」は、これで閉幕となりました。2017年、2018年と、多彩な有識者とともに練り上げられてきた議論の成果を携え、NEC未来創造会議は次のステージに進みます。