Forum Report

第二部 パネルディスカッション①
「これまでのNEC未来創造会議の活動について」
NEC チーフテクノロジーオフィサー(CTO)
江村 克己

C&Cユーザーフォーラム & iEXPO 2018の会場で行われた第3回 「NEC未来創造会議 2018」。第二部は、NEC CTOの江村克己から これまでのNEC未来創造会議の活動報告、および第3回会議のディスカッションに向けたプレゼンテーションで幕を開けました。

江村 克己の写真

「人が生きる、豊かに生きる」
この考えの元に未来を創る

2年目を迎えた「NEC未来創造会議」、今回は今年の3回目に当たります。パネルディスカッションに入る前に、これまでの議論の内容を私から紹介させていただきます。

まず「NEC未来創造会議」とは、国内外の有識者を集めて、実現すべき未来像、解決すべき課題、その解決方法を議論する。その元にあるのは、「人が生きる、豊かに生きる」ために、世界中の人たちと共創しながら安全、安心、効率、公平という価値を提供し、明るく希望に満ちた暮らしと社会を実現する、というNECの考えです。

昨年は、「技術の進歩」と「人の生き方」の関係を中心に議論しました。技術が進歩する中で、AIと人との位置関係を考える必要があり、AIが人を支配するといったことは起こさないようにしようというような内容ですね。そのときに私たちが考えなければならないのは、人の意識と技術開発ということです。AIやロボットは、効率良くモノを作ることには向いています。一方、人間にはクリエイティビティがあり、新しいことにトライするといった特性があります。そこでうまく役割分担し、相互理解する必要があります。

別の論点として、私たちは地球に生きていますが、どうしても人を中心にものを考えてしまいます。地球には多様な生物がいて、そこにエコシステムがあって全体が成り立っているということを、もう一度考えていきたい。また、技術が進んだことで、私たち自身が未来に関与できるポテンシャルができてきた。それを次の世代に贈るための仕組みを考えるタイミングになってきているのではないか、という議論も出ました。

それらのことを踏まえて、今日は最後に、NECとして何をやっていくのか、宣言ができればと思っています。

テクノロジーの進化だけに頼っていると
問題を加速する側に回ってしまう

ここからは、本日の議論へのインプットになります。NEC社内の未来創造プロジェクトのメンバーが集まって、有識者の皆さんからこれまでにいただいたコメントをベースに、咀嚼し、まとめたものを作成しました。

昨年は、人間と技術の話をしました。今年は、「人間」に加えて「社会」、地球という意味での「環境」、「未来」という4つの視点で考えてみることにしました。現状、4つの視点間の分断が起きており、さらに、それぞれの視点の中にも分断があり、格差も起こっている。これらにどう対応していくのかということが、私たちのチャレンジです。

何もしないでテクノロジーの進化だけに頼っていると、いろいろな課題を加速していく側に回ってしまうのではないか。そういった中で、私たちが次の世界を描いていくために考えなければならないことがあるのではないかということです。ここでもう一度、「人の意識」と「技術でできること」のセットに戻ってくるのかなと思います。

次の世界をデザインするために
私たちが考える4つの視点

先ほどのケヴィンさんのプレゼンテーションにもありましたが、ヴァーチャルな体験や新しい挑戦などテクノロジーの分野でできることが広がっていく中で、その元にあるのは、やはり人の意識ではないか。その部分を合わせて、次の世界をどうデザインしていくかということになるかと思います。そういった観点で考えた、人が豊かに生きるこれからのシーンを4つ紹介します。

「人間」「社会」「環境」「未来」それぞれの視点で「人の意識」と「技術」を捉えたものです。まず「人」の視点では、人生100年時代、子どもから高齢の方まで自分たちが何をしたいのか、人がそれぞれ「夢」を持って生きることが不可欠です。技術的には「エクスペリエンスネット」と書きましたが、情報共有の先にある体験共有の環境をどうやって作っていくのか、そこはひとつのチャレンジです。

次に「社会」。地球規模でつながっているネットワークの中に新しいコミュニティができるとすると、どんなコミュニティを作るのかを人が考えていくわけですが、そのときの技術の役割は、安心してそのコミュニティに入っていけるデジタルトラスト基盤を作っていくことだと思います。

「環境」については、先ほどケヴィンさんも自然をセンシングするというお話をされました。現在のIoTは、データになりやすいものを取ってくるというイメージですが、地球で起きていることをきちんと理解して考えていくということになると、今度は、また人間の側に戻ってくるのではないでしょうか。

最後は「未来」。「地球よし、未来よし」ということで、私たちには自分たちの子孫に良い世界を残していく責務があります。「複合現実」などのテクノロジーを用いて、将来起こる可能性があることをシミュレートし、ある程度予測できれば、その中であらためて自分たちの選択肢を考えるというようなことができるのではないか。そういったことを話し合いました。

これで私からは最後になりますが、NEC未来創造会議について。基本的には全体のプロジェクトをやっていますが、これをより大きな形に拡張しながら継続していきたいと思っています。そのときに今日お話をさせていただいた、人の意識、あるいはテクノロジー、それを実現するための制度のようなものを考えていきたいと思っています。本日は有識者の皆さんからあらためてサジェスチョンをいただいて、それをベースに次の展開について最後に宣言できればと思っています。