Column

未来創造会議から浮かびあがる注目のテーマ : 1

HUMAN
知的資本としての人間とは

生命としての人間が望むもの

ミチオ・カク氏の写真

科学と技術は、豊かさをもたらすエンジンです。そのための教育を与えていくこと、特に技術の教育を強調しなければなりません。そして、大切なのは、ロボットにはないクリエイティビティ。構想力、構築力、体験を必要とするもの、リーダーシップ。これらが、AIと協調する時の、最も大切な人間の知的資本なのです。

ニューヨーク市立大学 理論物理学 教授

ミチオ・カク氏

塩沼 亮潤氏の写真

あるルールと上下関係のなかで同じことを繰り返していると、見えてくるものがある。それが、文字や言葉で表現できない、「不立文字教外別伝」と呼ばれる「悟りの世界」です。この世界を、AIが表現できるようになれば、幸福な社会が実現するように思います。

慈眼寺 住職 大阿闍梨

塩沼 亮潤氏

生命に由来する人間には、本能や感情があり、人間の知能の仕組みや、環境との協調行動は、こうした基本機能に基づいている。AIと人間との協調を考える以前に、「生命としての人間が何を望むのか」、「人間の根本的な知的資本とは何か」、を考えていく必要がある。

これらを定義する上で参考となるテキストの一つに、「マズローの欲求の5段階」がある。

「生理的欲求」から始まり、「安全欲求」、「愛情・所属欲求」、「尊厳欲求」を経て、「自己実現欲求」に昇華していくという学説である。さらに近年では、その先に「共創・互恵欲求」が加えられることが多い。

AIの台頭は、医療技術・サービスを革命的に高度化し、生理的欲求の根幹をなす、「老化・疾病のコントロール」や「生存のためのマネジメント」を確実に向上させる。この6段階の欲求に対し、AIがそれぞれ何を為し得るのかを幅広く議論することが求められている。

そこでは、生物学、心理学、哲学からのロジック構築が重要となろう。

マズローの欲求の5段階・進化版

出典 : Universal Design Intelligence.,Inc.

人間が求めるものは幸福

江村 克己の写真

幸福を感じる時間は、やりたいことを物凄くやりきっている時。もう一つは、当たり前の生活です。家族の誰かが病気になったりすると、やはり精神的にもつらくなる。家に帰って普通にいることが、一番幸せな気がします。その背景にあるのは、家族の吸収力に対するリスペクトかも知れません。昔は、個人や家族の問題を、コミュニティではなく、大家族が吸収していた。子供を、祖父、祖母が育てる。介護者を家族でサポートする。それが今、核家族や独居が台頭し、保育園や介護施設の不在が顕在化してきた。家族の課題が、コミュニティの課題として外側に噴き出してきたのです。不老不死の前に、寿命が長くなってくるその間の社会を描いていくことも大切です。

NEC チーフテクノロジーオフィサー(CTO)

江村 克己

松尾 豊氏の写真

人工知能的に見ると、ハッピーとは報酬系で、人間の脳で言うと、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンが出るということです。そして、それは設定しだいで、進化や学習の過程で設定されてきた。広い部屋にいると落ち着かない。そう感じる方が、生存確率が上がったのです。隅っこの狭い場所にいる方が、外敵に襲われにくかったからでしょう。この脳がやってきたことを人間社会が拡げた。ニューロン間の信号の伝達が言語に、脳の快楽物質が貨幣に、やるべき行動、いけない行動が法律に、置き換えられたのです。

東京大学大学院 特任准教授

松尾 豊氏

ミチオ・カク氏の写真

「セットポイント・ハピネス」と呼ばれるように、生まれつき幸せな人と、生まれつき悲しい人がいる。人は、サーモスタットのように、その上下の範囲で動いています。そう考えると、幸福感とは相対的なものです。自分は貧乏、友達はお金持ち。これは幸福ではありません。しかし、みんなが貧しければ、あなたも幸せになれるのです。

ニューヨーク市立大学 理論物理学 教授

ミチオ・カク氏

塩沼 亮潤氏の写真

人の心は、一日の中でも明るかったり、暗かったりする。そんな時、朝、「おはよう」と言って、気持ちの良い「おはよう」が返ってくる。これが、とても幸せだと思う瞬間です。人と人、心と心が通い合っているこの状況が、私にとってのハッピーなのです。

慈眼寺 住職 大阿闍梨

塩沼 亮潤氏

羽生 善治氏の写真

人類が共通して求めている幸福は、安全と自由。個人的には、幸福とは、自分の持っているものを出し切った充足感のようなものです。

将棋棋士

羽生 善治氏

荻上 チキ氏の写真

幸福には、自己肯定と自己効力感の2つがあると思っています。自分は今、凄く楽しい、自分最高、と思っている瞬間の興奮と、自分は今、人の役に立っている、人から承認を受けている、という他者を交えた自己肯定です。この両者が行き交う状況が、ハッピーの本質だと考えています。

評論家

荻上 チキ氏

人間は、「健康 HEALTH」に象徴される生存欲求を始発駅としながら、生理的欲求、安全欲求を満たす「快適 WELLNESS」、そして愛情・所属欲求、尊厳欲求、自己実現欲求を満たす「幸福 WELLBEING」を求めている。その際に、HEALTH、WELLNESS、WELLBEINGともに、個人、社会、地球環境という3つのフィールド、生理的、心理的、社会的という3つのレイヤーが存在することをまず意識しておく必要がある。

例えば、「心地良く、生き延びやすい」、「美しく、人々の生存意識を支える」、「誇らしく社会に参画している」、「ライフラインが確保されている」、「自然環境が充実している」、「フェアな社会システムが確立されている」、「生物多様性が維持されている」、「心と五感が良好である」、「平和で安心、安全が保障されている」、といった主要なテーマに即し、現行の地球・社会システムの課題、その解決のための施策仮説、そこにおけるAIの果たし得る役割を、まず整理することが必要である。

そこでは、人間学、社会学、環境学からのロジック構築が重要となろう。

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